Calender

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>

Categories

Archives

Recent Entries

Recent Comment

Recent Trackback

映画・書評・音楽

映画:フィッシュストーリー

 今年48本目の映画(洋画23本・邦画20本・アジア映画1本・洋画アニメ1本・邦画アニメ2本・特撮ヒーロー物1本)です。評価が高い『アヒルと鴨のコインロッカー』の原作者と監督コンビの新作。中村義洋監督と言えば、『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』という、原作付きの作品の映画化でも堅実な力を見せ(原作ファンには批判も多いようですが)ていますので、自分としては期待して鑑賞しました。伊坂幸太郎といえば『Sweet Rain 死神の精度』の原作者でもありますが。しかし、嫌いじゃないジャンルのはずなんですが、見終わったあとは微妙な違和感が……。

『フィッシュストーリー』

●見どころ
「アヒルと鴨のコインロッカー」の監督&原作者コンビによる最新作。売れないパンクバンドが最後に残した1曲が世界に希望をもたらしていくさまを斬新な構成で語り明かす。

●ストーリー
2012年、地球は彗星の衝突によって5時間後に破滅しようとしていた。静まり返った町のとあるレコード店で流れるのは、パンクバンド、逆鱗が1975年に録音した「FISH STORY」。その曲が思わぬ形で世界を救うことに。

※以下ネタバレがありますので、読み進める方は自己責任でお願いしますm(__)m
 早すぎて時代に受け入れられなかったパンク、という部分では『少年メリケンサック』も同じテーマですし、時代が行く打つ戻りつして最後は重なるというのは、宮藤官九郎的な物語パターンだなと言う気もしますが、それ以上に感じたのは「これは……『20世紀少年』と同じテーマ?」という部分ですかね。『20世紀少年』の物語としての破綻に関しては、町山智浩さんがライムスター宇多丸さんの番組の中で、徹底的に暴いちゃってるんですが、詳しくはこちらをお聞きください。要するに、約束された未来が達成されなかった愚痴なんだと。

ただ、『20世紀少年』は輝く未来が達成されなかった愚痴ですが、伊坂幸太郎原作の本作は、地球が滅びなかったことへの愚痴に思えます。もちろん、作品自体は地球の危機が回避されるんですが、それがものすごく付けた品感じがして、自分と2才ほどしか違わない伊坂氏はたぶん、ノストラダムスの大予言で自分は30才になる前に死んでしまうと思っていた世代でしょう。滅びは恐怖でありますが、同時に人間の強烈な願望であり、渇望でもあります。世界中の神話にそういう滅亡をテーマにしている物があることが、その証拠です。


 ユダヤ・キリスト教の千年王国思想というのは、虐げられた弱者が最後は支配者になって、かつての支配者に復讐するという思想で、共産主義にも大きな影響を与えました。人間は生きてれば必ず不満を持ちますし、どんな権力者も金持ちも最後は死ぬという理不尽(本当は自然の摂理なんですが、人間はそれを理不尽と見なします)の前に、どうせ自分が死ぬなら世界もいっしょに滅びてしまえばいいのに、オレが死んでも世界は変わらず続くという現実に、恨みを抱きます。だから、人間は絶滅の予言に惹かれます。

井坂氏の不満というのはたぶん、世界が滅びるという劇的なこともなく、その滅びを回避するために何か画期的なことが起きるということもなかった不満でしょうね。ハッキリ言えば、正義の味方(広義的には神)が降臨することもなく、アッサリ2000年を迎えたショック。予言が外れてしまって、人生を無駄にしてしまった人間の気恥ずかしさややるせなさの、八つ当たりですね。世界が滅びるから勉強しなくてもいいといったちびまる子は、滅びなかったらまる子はただの勉強できない子になるだけだと姉にたしなめられたのですが。


 そこで突っ張って勉強しなかった人間が、「滅びないのか!」と逆ギレしているような感じを、本作では感じました。ロックやパンクで世界を変えたいってのは、ラブ&ピースと偽装しようとも、実は暴力を使ってでも世界を支配したいという男の死は意欲と、根っこは同じですからね。いや、ストレートに支配欲を口にする人間よりも、音楽とか文学とか芸術とか宗教でなんとかしよう捻れている分だけ、非常に問題ではないかと。自分が人生を賭けた物がたいした物ではなかったと自覚しても、そこで逆ギレしてどうすると思います。

けっきょく、邦画は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』を超えられていない、ということが問題ですね。70年代や80年代の記憶装置で回顧するばかりで、新しい物は作り出せずに過去のパロディや焼き直しばかり。オタク化したファン層は、自分の狭い範囲の嗜好の一致を求めて、ドンドン細分化し蛸壺化していき、そこに興味が内装から見たらわずかな違いで相手を罵倒するセクト化の状況。オタクは既に死んでいる、という状況はドンドン進行していますね。さて、どうやってそこから脱却できるのか。
  • 2009.03.29 Sunday
  • 15:00

-

スポンサーサイト

  • 2020.07.04 Saturday
  • 15:00
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

Comment
Send Comment








   
この記事のトラックバックURL
Trackback
 今年61本目の映画(洋画29本・邦画24本・アジア映画2本・洋画アニメ2本・邦画アニメ3本・特撮ヒーロー物1本)です。テレビドラマの『鹿男あをによし』はかなり面白かったんですよね。もっとも原作ファンには藤原くんを勝手に男性から女性に配役を変えたりと、不評
  • 平成鸚鵡籠中記
  • 2009/04/21 4:18 PM
 今年84本目の映画(洋画38本・邦画33本・アジア映画4本・洋画アニメ2本・邦画アニメ5本・特撮ヒーロー物2本)です。伊坂幸太郎作品が、このところ次々と映画化されています。一時期の浅田次郎作品が次々に映画化される状況に似ていますが、『アヒルと鴨のコインロ
  • 平成鸚鵡籠中記
  • 2009/05/27 2:03 PM
今年13本目の映画(洋画6本・邦画4本・アジア映画0本・洋画アニメ0本・邦画アニメ2本・特撮ヒーロー物1本)です。伊坂作品は『死神の精度』や『フィッシュストーリー』、『重力ピエロ』などが映画化されて、自分も劇場で見ていますが、どうにも細部が甘いというか
  • 平成鸚鵡籠中記
  • 2010/02/11 2:00 PM