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書評:若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

近頃の若い者は……という年寄りの愚痴は、古代エジプトのパピルスにも書かれている言葉なんだとか。数千年も前から、若者が年寄り達よりも倫理観や行動力でダメになっているのであれば、人類というのはどんどん悪くなっているはずですが、物質的にはどんどんと豊かになり、科学的には進歩して昔だったら治らなかった難病が少しずつ克服され、自然の中に潜む真理は解明されていっています。倫理的なところでも、奴隷はいなくなり女性の権利は拡大され、子供達は苛酷な労働から解放されたりと、少なくとも良い方に変化した部分って多いような気がします。

孔子は「後生畏るべし。いずくんぞ来者の今に如かざるを知らんや」と語っています。若い世代が自分よりも優れた人間に成長しないなんて誰が言えるんだ、若い世代には畏敬の念を持って接しないといけない、という意味です。本書は、若者がすぐに会社を辞めてしまうという点について、全共闘食い逃げ世代の「若い連中は根性がない」という世迷い言を一蹴する、大変刺激的な書です。バカな全共闘オヤヂは読んでも無意味ですから、これから就職をひかえた学生や二〇代の人間にこそ、読んで欲しい良書です。
全共闘食い逃げ世代やその下のノンポリ無気力世代というのは、右肩上がりの経済幻想というのがあって、若い頃は給料安くてもがんばって長く勉めれば、その内給料は大きく上がるし退職金もタップリもらえるという幻想の上に、それこそ過労死なんて世界から見たら信じられないような苛酷な労働をこなして、会社のためにつくしたわけですが。佐高信はそれを「社畜」なんて造語で表現していますが、そもそも日本自体がお家大事の共同体優先の文化ですから、目先を変えただけの猫騙し。自閉症の意味も間違っているし。

けっきょく、平成不況の中で御用組合となったかつての全共闘世代(経営者もこの世代が多い)は、自分達の年功序列という「既得権益」を守るために若者の給料を減らすことで会社の見た目の収支を安定させる戦略に出た訳です。派遣社員やアルバイトを多く使うことで本来の雇用の頭数を揃えて同じ仕事をさせているのに給料を削減しているわけですから、そりゃあワーキングプアが生まれて当然といえば当然ですね。

けっきょく、少子化の問題も経済的な問題が一番大きくて、若者の給料が年寄り達のために「搾取」されているのが多いわけで、本書はその点を丁寧に解説しています。パラサイトシングルは甘えの部分もあるでしょうが、実際問題として親の世代に頼らないと生活がたちいかないというのが実態と、日本女子大学の岩田正美教授なども指摘されていますね。若者の気質が数年で変わるわけはなく、短期間で変わったのは不況による経済的な会社のシステムなのは明らかです。

 

けっきょく、年功序列という既得権益をそのままにして、若者にだけ成果主義を押しつけても、それは成果主義という名の給料減らしとしてしか機能しないわけで、全共闘世代は自分達だけは年功序列の果実を満額もらってから退職まで雪崩れ込みたい、まさに「食い逃げ世代」な訳です。若者は3年も働くと会社の中の構造とか、自分の将来とか明確に見えてくる。このまま10年20年とこの会社で働いても、明るい未来が見えるのかと疑問を感じ、手に職付けたり資格を取ったり、本当の成果主義の外資系企業に転職したりと、3年で辞めてしまうわけです。

自分は10年と1か月会社に勤めて、ボーナスまで後もうちょっとというところで退社してしまった人間なのですが、この本には共感するところ大ですね。ボーナスもらわなかったのは男の意地。無能なくせに若い連中の芽を摘むことばかり考え、自分達が退職する頃まで会社が存続してくれればいい、後は野となれ山となれ……という底意が見える、しかもそれを自覚していない全共闘食い逃げ世代に呆れかえったというのが、一因ではあります(本当の理由はここでは書きませんが)。

自分が良く行く食い物屋にしても、ちゃんとしたものを勉強してちゃんとお客に出しているのは、自分らの前後の若い世代で、むしろ今の40代後半から60代前半の連中の方が、悪い意味で保守的で不勉強ですね。ただ、思うんですが、会社を3年で辞める連中というのは自分でちゃんと考えている人間と、ただのひ弱さから来る人間と、両極端に別れるような気はします。そして、自分で独立してやっていける人間はさっさと辞め、若者でも転職できない無能な人間が、会社にしがみつくという悪循環を起こしていないかと。

実力で勝負できる人間は一握りで(実際自分もフリーになって貧乏に打ちのめされています)、たいがいの人間は嫌々ながらも会社にしがみつくしかないわけです。なので、この本を読んで安易にアジテートされることなく、自分は裸一貫で何ができるのかを冷静に考える契機として欲しいかな、と思います。結果として、会社内部で踏みとどまって改革するのもまた、重要で難しいことだと思います。自分は現在の自分を、これまた安易に肯定しようとは思いませんので。

 
  • 2007.06.08 Friday
  • 15:30

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  • 2019.09.17 Tuesday
  • 15:30
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